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福島第一原発事故を予見していた電力会社技術者 - 無視され、死蔵された「原子力防災」の知見[原子力]

2012-05-31

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35339

原子力防災—原子力リスクすべてと正しく向き合うために

原発事故の対策システムの設計運用をしていた人が、2007年1月に書いていた本。
「原子力防災研修」の講師もしていて、この本は教科書でもあったらしい。
ただ、この本に書いてある知見は活用できていなかったと思われる。

3/11当日の動きは犯罪的。

「率直に言って、たとえSPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、
避難の警告を出せると思います。『過酷事故』の定義には『全電源喪失事故』が
含まれているのですから、プラントが停電になって情報が途絶する事態は当然想定されています」


──すべてが後手に回っているように思えます。なぜでしょう。

「何とか廃炉を避けたいと思ったのでしょう。
原子炉を助けようとして、住民のことを忘れていた。
太平洋戦争末期に軍部が『戦果を挙げてから降伏しよう』と
ずるずる戦争を長引かせて国民を犠牲にしたのと似ています」


さらにひどいのは以下の文。

「私の言うことは誰も聞いてくれませんでした。
誰も聞いてくれないので、家で妻に話しました。
しかし妻にもうるさがられる。『私の代わりにハンガーにかけた
セーターにでも話していなさい』と言うのです」

松野さんはそう言って笑う。


「広島に原爆が落とされたとき、日本政府は空襲警報を出さなかった。
『一矢報いてから』と講和の条件ばかり考えていたからです。
長崎の2発目は避けることができたはずなのに、しなかった。
国民が犠牲にされたんです」


同じことが起きそうだ。。。

「負けるかもしれない、と誰も言わないのなら(電力会社も)戦争中(の軍部)と同じです。
負けたとき(=最悪の原発事故が起きたとき)の選択肢を用意しておくのが、
私たち学者や技術者の仕事ではないですか」


こんなこともあろうかと、の精神よね。

Wikipedia - 真田士郎

ただ、物事の決定にあたっては技術は判断基準の一つなのよね。
エンジニアにとってはつらいところではあるけど、
文民統制という意味では軍人と一緒の立場なのかもしれない。

さまざまなレイヤでレイヤに応じた議論はあるみたいだけど、
国際政治的には、日本を脱原発化させる、みたいな動きはあるっぽい。


福島4号機燃料プール危機を考える - 田中宇の国際ニュース解説
http://www.tanakanews.com/120530fukushima.htm

米当局は、覇権体制の転換に付随する世界的な核兵器廃絶との関係で、
日本の原発の再稼働を歓迎せず、日本の原発の危険性を大きく見積もり、
原発廃止の方向の圧力をかけている。


また外圧かよ、っていう話もあるけど、政策決定にあたって、
外圧は重要なファクターではある。
外圧もいっぱいあってそれぞれが矛盾してたりもするしね。

情報を集めて、判断するのは、政治家(政策決定者)の仕事。
がんばれ。

でも政治家に正しい情報を届けないのだけはやめて欲しいもんだ。

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