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IETFフォーラム・ジャパン2006 パネルセッション[イベント][internet]

2006-04-27

第1回目のイベントがあったので後半だけ聞いてきた。

IETFフォーラムジャパン
lhttp://ietf-forum.jp/

「inter-sector coordination とは」と題して、
セクタ間の断絶をどうするか、ということについて、
パネルディスカッション。
これがすごく面白くかった。

昔は、インターネットを使ってた人といえば、
そのまま作る人であり、運用する人だった。
でも、インターネットをみんなが使うようになってくるにつれ、
作る人、運用する人、使う人が分離してしまって、
さらにその中もどんどん細分化されてきてしまっている。
なんとか橋渡しをしないと、という内容。
以下はメモ。

○セクターの種類

切口は沢山ありそう。

まずは関わり方、という分類。
技術方面だけとっても以下のセクターによって、
考え方が違ってくるし、コミュニティも違う。

- 運用に関わる人
- 技術標準化に関わる人
- 開発に関わる人

それに加えて

- インターネットガバナンスに関わる人
- ビジネスの人、サービス提供者
- 利用する人

もプレイヤーとしている。

パネルではその切口を主に取りあげてたんだけど、
レイヤによっても分類は可能じゃないかと思う。

- 物理層の人
- IPの人
- サービスプロトコルの人
- アプリケーションの人
- コンテンツの人

さらに、所属組織、所属する文化による分類もできそう。
わかりやすい分類は以下かな。

- 産、官、学


○セクタの断絶の何が問題なのか

- セクタによってルールが違うので、ルールが衝突する。
- 他のセクタの知識が必要なのに、その知識なしで、
  無理にルール化して不整合が起きる。

たとえば Winny の問題、個人情報保護法の問題とかね。
セクタ間をまたがる連携がちゃんとできていれば、
もうちょっとうまく解決できたかも、と。


○セクタの断絶を産み出す原因

- 他のセクタで何をやってるのかわからない
- どの団体が何をやっているのかわからない
- 自分が関係があることしか興味がない
- 英語問題!!

まあいろいろあると思うんだけど、

- 問題共有ができていない
- 情報がオープンになっていない

ということにつきるのかもしれない。


○セクタの断絶をなくすには

- ちゃんと情報を公開する。
- 誰が、どの団体が、何をやってるのかを明らかにする
- コミュニティを横に繋ぐような仕組みを作る
- サマライズじゃない情報、ざっくばらんに、思ってることが
  聞ける場があれば良いのかもしれない
- ML とかには参加しとく

なにかをやりたいときに、どの枠組を使うか、ということを
考えられるようになれば良いのかもしれない。


○JANOG のやり方

JANOG は各層にまたがった議論ができる数少ない場だと思う。
どのようなやり方で運営しているか。

- きわめてオープンなメーリングリスト
- 社会的なコンセンサスを得られるように努力してきた
- 世間から認められるとやりやすい
- 上司が行ってこい、と言えるようにする

あと、会場では出なかったけど、

- JANOG って面白いよね、と思わせる

というのも、ミーティング時に気を使ってることかも。
そうしないと盛り上がらないし。


○JPNIC のやり方

- JPNIC は社団法人。公益のための団体。
- 参加団体に利益を与える、という団体ではない。
- 会員が減ってきている、という問題がある。
- すばらしいことをやっているので、ぜひお金を払いたい、
  と思わせなければいけない。
- 各人の自助努力じゃできないことをやっていく

個人的には、 JPNIC はもう少し一般向けの宣伝活動を
しても良いんじゃないかと思う。
せっかく素晴しい仕事をしているのに、
一般の人から全然感謝されない、というのは、
とても勿体ない気がするんだよね。
プレスの先を増やすだけでも大部違うんじゃないかな、
と思ったりもする。
そうすればスポンサーも集めやすくなるんじゃないかなあ。


○オープンソースのやり方を参考にできないか

- オープンソースは苦労しながら頑張って活動してきた
- 社会にオープンソースというものがだいぶ認知されてきた
- アナロジーとしては似ているんじゃないか


○KAME は終了って言うけど、サポートがなくなっちゃうの?

- 開発者は運用のことを考えてくれない
  今後バグが出てきたらどうするの。。。。
- というのが誤解だった。
- 最後の1年は、各BSDでメンテできるような体制作り。
- 今後もメンテは各BSDで行なわれる
- 誤解は解けたけど、これも情報が足りない例かも


○by name になっちゃう問題

- これってどうなってるの、って聞くのは、
  結局 by name になっちゃっている。
  近藤さん、これってどうなってるの、とか。
- もっと若手の交流会みたいなのがあっても良いかもしれない


○個人的なコメント

- 問題は総括的に扱っちゃうとわけわかんなくなるので、
  小さくしてから解決していくしかない気がする
- 団体が沢山あるのはある意味便利。
  ただ維持コストがかかっちゃう。
  もっとタスクフォース的な軽い団体が乱立できるような、
  枠組があっても良いかも。
  JPNIC に期待か?
- 2ch のまとめサイトみたいなものって、インターネットに関しては、
  ないよね。
  これも JPNIC に期待か?
  Wiki みたいな仕組みを使えば、かなり良いものができたりしない?
- エンジニアとしては、技術で解決できる問題に落として、
  技術で解決、とやりたいよなあ。
- 誰が何してるのか、というのは SNS 的な仕組みをうまく使えば、
  それなりに広報できそうな気もする。
  by name 問題とかは、SNS と はてな、みたいな枠組で、
  うまく解決できないかなあ。
- 問題を解決しよう、という意志がなく、単に文句を言うだけ、
  という人の扱いはどうしようねえ。


○その他

- 秘密結社重要
- サポートは上がりにくいフィードバック。
  苦情とか文句は上げやすいのに。
  サポートのフィードバックを積極的に上げよう。
- 近藤さんは WIDE が嫌い?


○リンク、感想等

馬渡さんの感想
http://d.hatena.ne.jp/mawatari/20060501#1146447758

たしかにセキュリティっていうのは依りどころとして良いかも。


実行委員の前村さん
http://d.hatena.ne.jp/maem/20060427/p1

年2回開催なのですねw。次回も期待しております。

Referrer (Inside): [2006-12-31-3]

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